なぜ長期保存ディスクが必要か?
市販の光ディスクは一般的に寿命は5年~10年と言われています。メーカーや保存状態にもよりますが、早いものでは1年も経たずに読めなくなってしまう場合もあります。
下記のグラフは、市販のディスクと長期保存用ディスクの寿命性能を比較するための加速試験のデータになります。市販のメディアでは、海外メーカーAのDVDは約100時間でDVD規格すらも満たさなくなってしまいます。
国内メーカーBの製品でも約400時間で、良好な状態を超えてしまいます。つまり、市販のメディアは時間が経過すると経年劣化によりデータの保存状態が悪くなるということです。
一方、長期保存メディアは、エラーの少ない状態を維持しており、良好な状態を保っています。つまり、長期的にエラーの発生しない良好な状態を保つことができる、ということです。
以上の結果から、長期的にデータを保存するには、長期保存ディスクで保存する必要がある、ということが言えます。
長期保存を実現する仕組み
長期保存専用に開発された光ディスクと、その性能を最大限引き出すことが可能な専用ドライブによる書込みにより、長期保存が実現いたします。
光ディスクは、三菱ケミカルメディア(ALMEDIO)製の長期保存専用ディスクを使用します。市販のディスクよりも高品質で耐久性に優れています。例えば、ディスクの端の部分からの水分の侵入による腐食や割れ等を防ぐために、エッジが保護されています。
データを書き込むドライブはALMEDIO社の長期保存メディア記録専用のドライブを用います。長期保存用光ディスクに記録特性が最適化された制御プログラムを搭載し、耐久性の高い専用ドライブを搭載しています。
上記のように、長期保存専用の光ディスクと専用の書き込み装置を使用することで、信頼性の高いデータ書き込みと、長期保存性能を実現いたします。尚、長期保存ディスクの読み込みに関しては、特別なドライブは必要なく、通常のドライブで読み込むことが可能です。
長期保存の裏付け
JIS Z6017は「電子化文書の長期保存方法」を定めたJIS規格で、光ディスクで大切な情報を、高い信頼性で未来に残す規格であり、光ディスクは、情報の長期保存方法が明確になっている媒体です。当社採用の長期保存用ディスクとドライブによる書込みで作成されたディスクはこのJIS Z6017の規定を満たしておりますので、信頼のおける長期保存性能を発揮いたします。
- ■JIS Z6017規定の新規作成時のエラー区分
- C1エラー*1:1秒当たりに発生したエラー数
- BER*2: Byte Error Rateの略。10 Kbytes当たりのエラーの割合
- PIE SUM8*3: 単位ブロック(ECCブロック)8個当たりのエラー数
- RSER*4: Random Symbol Error Rateの略。単位ブロック(LDCブロック)1万個当たりのエラーの割合(40バイト以上の エラーを除く)
災害にも強い
長期保存用ディスクは、長期のデータ保存だけではなく、耐水性などにも優れているので、災害対策などにも有効です。下記は、耐水性、耐光性などの試験を行ったデータになります。いずれも過酷な条件の実験にも関わらず、すべて再生可能という結果を残しています。
- ■自然災害模擬試験耐水試験
水洗い→乾燥 |
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全てのBD-Rがデータを読み込めました |
- ■長期保存用BD-R耐環境試験例(三菱化学メディア試験結果)
試験項目 | 試験条件 | 結果 |
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海水耐久性 | ディスクを1週間海中に保管 | 再生可能 |
腐食性ガス耐久性 | H2S(25℃,75%RH,12.5ppm)&SO2(25℃,75%RH,25ppm)の環境で96時間暴露 | 再生可能 |
耐光性 | 疑似太陽光(キセノンランプ, 550W/m2)を3週間照射 | 再生可能 |
温湿度耐久性 | 80℃, 80%RHで750時間保管 -40℃で250時間保管 |
再生可能 |
耐薬品性 | 次亜塩素酸(1%)で20回拭き取り エタノール(80%)で20回拭き取り |
再生可能 |
過酷な試験を実施済み |